自社保有の樹脂材料の性質を
種類別にわかりやすく比較

透明カバーの特徴・選定

一言に透明樹脂といっても耐熱温度や透明度、耐衝撃性や耐薬品性などその種類によって特徴はさまざまです。コストパフォーマンスなどトータルバランスがいいPET材(ポリエチレンテレフタレート)。耐薬性と、FMプレートを筆頭とした難燃性に優れるPVC材(塩化ビニル)。耐熱温度が高く、衝撃にも強いPC材(ポリカーボネイト)。透明度が高く、表面硬度も固いPMMA材(アクリル)。これらの材料から仕様・用途によって最適なものを選んでいただくことで最高のパフォーマンスを発揮し、なおかつコストダウンにつながることもあります。ここでは4種類の透明樹脂について物性などの特徴をまとめ、比較しておりますので、材料選定にお役立ていただければと思います。もちろん、わからないことや掲載されていない内容に関しましてもお応えさせていただきますのでその際はお問い合わせください。

レーダーチャートを使ってトータルのバランスや優越をみる

PET(ポリエチレンテフタレート)

耐衝撃性・加工性に優れ、燃焼時に有毒ガスを発生しない環境に優しい素材です。機械カバーやディスプレイなどに利用されています。

PVC(塩化ビニル)

耐薬品性・難燃性に優れ、水回りでよく使用される素材です。
配管パイプや標示板などに利用されています。

PC(ポリカーボネート)

耐衝撃性・耐熱性に優れ、割れにくく高温環境で使用できる素材です。
機械カバーやショーケースなどに利用されています。

PMMA(アクリル)

透明性・耐候性に優れ、硬度が高いため傷がつきにくい素材です。
看板や水槽などに利用されています。

実際の物性値や特徴の詳細をみる

PET
(ポリエチレンテフタレート)
比重 1.27
透過率 87% 光透過率は80~90%で、ガラス同等です。
連続使用温度 60℃ 耐熱温度は60℃と低い。
表面硬度 やや柔らかい
耐衝撃 アクリルと比較し、約4倍の耐衝撃性を持っています。
耐酸性
耐アルカリ性
コスト 0.6 安価である。
耐候性 経年変化で変色有り。
難燃性 自己消火 燃焼しても有毒ガスが発生しにくい材質の為、環境にもやさしい材質。
酸素指数 ※1 24
PVC
(塩化ビニル)
比重 1.4
透過率 83% 光透過率も80%程度ある為、中が見えてほしい機械カバー等としても十分使用可能である。
連続使用温度 55℃ 耐熱温度は55°℃と低い。
表面硬度
耐衝撃 アクリルと比較し、約4倍の耐衝撃性を持っています。
耐酸性 耐薬品性に優れており、ほとんどの酸・アルカリ・塩類に侵されることがない。
耐アルカリ性
コスト 0.5 安価である。
耐候性 経年変化で変色有り。
難燃性 難燃性 FM4910認定材料がある。※2
酸素指数 35
PC
(ポリカーボネート)
比重 1.2
透過率 87% 光透過率は80~90%で、ガラス同等です。
連続使用温度 120℃ 耐熱温度は120℃と高い。
表面硬度 やや柔らかい
耐衝撃 優れる アクリルと比較し、約50倍の耐衝撃性を持っています。
耐酸性
耐アルカリ性
コスト 1 高価である。
耐候性 経年変化でも変色がほとんどない。
難燃性 自己消火
酸素指数 26
PMMA
(アクリル)
比重 1.2
透過率 92% 透明度が非常に高く、光透過率はガラスをも凌ぐ92%です。
※加工後研磨仕上げをすることにより、透明度を取り戻すことが出来る。
連続使用温度 90℃
表面硬度 硬い 破損した際にガラスのように破片が飛び散るということがない。
耐衝撃 割れやすい ガラスと比較し、約10~16倍の耐衝撃性を持っています。
耐酸性
耐アルカリ性
コスト 0.63
耐候性 経年変化でも変色がほとんどない。
難燃性 可燃性
酸素指数 17

加工性別表

PET PVC PC PMMA
曲げ
接着
溶接
端面仕上げ 光沢可 光沢可 光沢可 透明可
  • 〇 可能
    △ 可能であるが、安易ではない
    ✕  不可能ではないが、望ましくない
  • 端面仕上げ
    透明可 透明度を出すことは可
    光沢可 光沢を出すことは可

材料選定表

透明度 耐熱温度 表面硬度 耐衝撃 耐薬品 コスト 環境
アクリル ポリカ アクリル ポリカ 塩ビ 塩ビ PET
※1 酸素指数
材料の燃えやすさの指標。
材料の燃焼を維持しうる酸素と窒素の混合物における酸素の最低濃度を表す。
酸素指数が空気の酸素濃度21(%)より大きい材料は通常の空気中では燃焼が続けられないと判断できる。
※記載の酸素指数は一般的な指標であり、品種・厚みにより異なります。
※2 FM4910
半導体製造工場などのクリーンルーム内に使用するプラスチック材料について、その難燃性能の評価方法を定めた規格がFM4910です。
FM4910規格は火災時の延焼を防ぎ煙による汚染を防止することを目的に制定されました。
FM規格適合プレートは従来の塩ビ素材としての耐薬品性、耐熱性、加工性を保持し、且つFM4910に適合する製品です.

・酸素指数の目安

22以下 可燃性
23~27 自己消化性
27以上 難燃性